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地球と遊ぼう、ハイジの丘協会 瀬戸内国際芸術祭と犬島

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瀬戸内国際芸術祭と犬島 

過疎化と高齢化が進む瀬戸内海の7島が、現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭」の舞台となり、にぎわった。芸術祭には世界18の国・地域から75の芸術家・プロジェクトが参加し、7月19日から10月31日までの105日間の会期中、予想の3倍にあたる約93万8千人の来場者を集めた。離島ならではのゆったりした時の流れが、現代芸術と調和して新たな魅力を生み出しており、たっぷりと魅了された。舞台となったのは、現代アートの聖地ともされる直島(なおしま)、産業廃棄物が不法投棄された豊島(てしま)、「鬼ヶ島伝説」で知られる女木島(めぎじま)、そして小豆島。廃屋を利用した作品などが点在する。

精錬所の外観(公式サイトより)
よく晴れた秋の一日、岡山城や江戸城の石垣などに島の石が切り出された犬島への定期船「あけぼの丸」に揺られた。

連絡船乗り場
△多くの来場者でにぎわう9月連休の犬島港。島へは、岡山駅から西大寺バスセンターからバスで約40分、「西宝伝」下車。港から連絡船で5分。島内は、ぶらり一人で散策して約3時間。


漁船が、穏やかな瀬戸内の波に揺れる。ありふれた漁村の風景だ。黒壁に「犬島アートプロジェクト」の白い文字が映える、しゃれた建物を除いては(写真上)。島は、今も昔も、島は良質な花こう岩の産地として知られる。名前の由来は、地元の人が古くから「石犬様」と呼ぶ犬がうずくまっているようにも見える形の石が島にあることや、桃太郎伝説で鬼退治の褒美に犬に与えられたのが犬島だったとか。名前の割に猫が多い。


この島が“アートの島”に生まれ変わったのは2008年。南西15キロの香川県の直島(直島町)で、現代アートを建築・展示してきた「直島福武美術館財団」が、犬島に残る約100年前の銅精錬所跡を活用。放置されていた煙突やレンガ塀(写真下)をそのまま見せる現代アート作品「精錬所」を創作した。住民たちも島活性化に期待した。


島の周囲は約3・6キロ。過疎高齢化が進む、人口60人の小さな島だ。1909年に銅精錬所が建設されたが、銅価格が暴落し、10年で閉鎖された。島の人口は、当時、従業員らで3000人を超えたという。レンガの建物は廃虚化したが文化的価値から2007年、経済産業省の「近代化産業遺産群」に認定された。

犬島アートプロジェクトの壁

精錬所の煙突

島の“アート化”は、現代美術作家・柳幸典さんが、直島で個展を開いた1992年、犬島の精錬所跡を案内され、「この景観を作品にしたい」とほれ込んだのがきっかけ。今回の瀬戸内国際芸術祭の総合プロデューサーを務めた知人で財団の福武総一郎理事長に提案すると、理事長は2001年、精錬所跡がある南部を中心に土地を購入し、06年12月、島の約10分の1の敷地でプロジェクト第1期を始めた。

福武理事長が統括し、建築家三分一(さんぶいち)博志さん、柳さんらが島でプロジェクトを具体化。精錬所の煙突(高さ約30m)下部に建具を付け、ガラス壁で囲んだ空間につなげた。その隣にはホール、その両側には鉄壁の地下通路(長さ80m)とガラス壁のテラスを設けた。

ガラス壁の空間に日の光が差し込むと、暖められた空気が煙突から放出され、その減圧で空間に通路から冷えた空気が流れ込む。冬は空間とテラスの仕切りを開放してテラスから暖かい空気を取り込む。仕切りの開閉で温度調節する自然原理だけを使った空調装置を造った。
「ヒーロー乾電池」三島由紀夫の旧宅の建材を利用して(公式HPより)
ガラス壁の空間とホールには、三島由紀夫の旧宅(東京都)をテーマに、障子などを宙につるしたり、地面に置いたりした。そばには工業化の象徴として、銅精錬で出たスラグも並べた。作品名は「ヒーロー乾電池」(写真上)。「環境を破壊してモノ作りを続けた社会の矛盾を表現した。近代化とは何かを考えてもらえる空間」という福武理事長の意図だった。

何より面白かったのが、この作品(ヒーロー乾電池)にたどり着くまでの「アースギャラリー」だ。迷路のように折れ曲がった暗闇を進むのだが、鏡の力で一直線に進んでいるように錯覚してしまう。何度曲がっても、後ろを振り返るとスタート地点の太陽の動画が見える。思わず感嘆符が思わずこぼれる、「えっ?!」。

併設されたカフェでは、寒天などの原料になる犬島産テングサを使った「犬島のコーヒーゼリー」(500円)や、レモンを搾って飲む「犬島ジンジャー」(500円、スイーツ付き)、天然塩を使ったオリーブクッキー(1袋500円)などが味わえる。現代アートの面白さを五感で堪能できる、完成度の高い体験型美術館だ。

◇◇◇

島内の空家は、プロジェクト第2期として、今回の芸術祭のためにギャラリーなどに改装された。「家プロジェクト」(妹島和世、柳幸典、長谷川祐子)の魅力は、美術館やギャラリーといった特別な場所ではなく、のどかな家々が並ぶ島の日常風景と、そこにアートが一緒に存在するという点だ。
「家プロジェクト」の一つ、「I邸」では民家内部の大型プロジェクターに映し出される黒い瞳には、さまざまな歴史のシーンが残像のように映し出されていた。銃を向けられる人物の姿や、目をそむけたくなるような戦争の残虐なシーンから、レーニン像が倒されるシーンまで、世界各地で実際にあった歴史的事象。人類の負の歴史を見つめてきた<死者の瞳>を投影する一方、外壁では、未来を見つめる子どもの瞳を映し出す。陽光の下、咲き乱れる約150種の花(写真下)や鑑賞者の姿が一緒に映り込む。
犬島 家プロジェクト「I邸」
△犬島家プロジェクト「I邸・瞳のある花畑」(2010年柳幸典、設計:妹島和世)
「人類は戦争を続けてきたけれど、瞳に映る自分の姿とこの花畑のように、未来は自分たちで作っていくもの」という作者のメッセージが込められている。衝撃的な作品は、銅の精錬所があった島の過去と、芸術を媒介に人々が交流する未来も描いているのかもしれない。



芸術祭は、今後も3年ごとに開催される可能性が高い。県などでつくる実行委員会は、出品された75作品のうち33点は来年3月末まで、9点は今年12月末まで各会場で展示を継続するそうだ。現代アートと溶け合った離島の活性化に、目が離せない。
精錬所の煙突と瀬戸内海


犬島アートプロジェクト「精錬所」
住所:岡山県岡山市東区犬島327-5
鑑賞料:1000円、15歳以下無料。
開館時間:午前10時~午後4時半(最終入館午後4時)

犬島「家プロジェクト」
作品鑑賞可能時間:午前10時~午後4時半、休島日・火曜
問い合わせは、犬島アートプロジェクト(086・947・1112)へ。

■参考文献


銅の精錬で栄えた島に「家プロジェクト」:瀬戸内国際芸術祭(草野恵子、エキサイトイズム)
芸術の舞台になった犬島 岡山市東区(朝日新聞)
連載「アートの島々舞台は今」瀬戸内国際芸術祭を前に(8)犬島(岡山市) 人と心が動き始めた(四国新聞)

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