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地球と遊ぼう、ハイジの丘協会 北の王者 キング・サーモン

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北の王者 キング・サーモン 

山脈の隙間からこぼれる赤い朝の光が眩しかった。海はその光を十分に吸い込んで、一際冷たい空気の中で、優しく穏やかに輝く。
キングサーモンの朝


ジャッキーのガレージに不思議な男が住んでいる。

彼の名前はジェーン。本名Yardslav Eglcvsky(ヤードスロブ・イグリフスキー)。本名を呼ぼうとするが呂律がまわらない。ロシア3世のアメリカ人だ。ミネソタ生まれ、祖父母がロシア大陸から移住してきたらしい。琥珀色の透き通った目、薄汚れたベレー帽、汚れた黒いジャンパーの染み。冷んやりとしたガレージでソファーを揺らしながら、テレビを見ていた。辺りにはサーモン缶の山、数枚のスリーピングパッドが積み重ねられ、その上に寝袋があった。

昨夜、日本語を教えているジャッキーから、釣りに行かないか、と誘いがあった。勿論”YES”だった。今年最後の釣りを9月に逃した。いつでも機会があれば誘って欲しいと、色んな人に声をかけておいたのだ。YESとは答えたものの、ジェーンがどんな男なのか、一度挨拶を交わしただけで分からない。私の家族は、心配してジャッキーに得体の知れないこの男のことを尋ねた。彼女の言うことら安心だろう、ということだった。

朝6時に起きて、ハリバット(平目)とパルピーニョのサンドウィッチを4個作った。彼は大食いだろうか、甘いものは食べるだろうか、色々と分からないなりに予想をしながら。熱い緑茶とオートミールの手作りクッキーをリュックサックに詰めて家を出る。顎の部分にマジックテープがついたフリース帽に、スノーパンツ、フリースのセーターに、厚手のジャンパー、2枚重ねの手袋、ウールの靴下を2枚、防寒対策もバッチリだ。

朝7時半、懐中電灯を持たないと歩けないほど暗い。8時になり、ようやく陽が昇った。ハリバットと同じく10$の釣り券(24h有効)に加え、キングダグと呼ばれる釣り券(10$=生息数が最も少ない品種なので通常の倍の金額を払う)を購入する。
(※捕獲制限=1人2匹まで、違反すると永久ライセンスなどの没収となる。)K Bay Caffeの世界一コーヒーを買って、彼の車に飛び乗った。車は、住処も兼ねているようだった。荷台に寝袋を広げてのせてある。
家の中で寝るのは落ち着かないらしい。冬でも野宿で平気。木の下で寝るのだ。昔はヒッチハイカーだった。船があるスピットに着くまでに、幾つかの質問をした。
子供は何人いるか―「多分、1人いると、オ・モ・ウ」と彼は答えた。


▼思ったよりもいいボートで安心した。襤褸切れだが、屋根までついている。スピットから南西に20分。25フィートほどの浅瀬に、2本の釣り糸を垂らした。釣り糸の深さは10~12フィート。3kgほどの錘をつけて、非常にゆるやかなスピードで船を進める。

30分ほどして1匹目がかかった。腹で釣り竿を支えて、大きく深呼吸しながら竿を下ろす、リールを巻く、竿を上げる、繰り返すこと5分。汗ばんで、左腕がつりそうになった。相手もこちらも命懸だ。今諦めたら竿ごと海へドボンだ。

キング・サーモン、日本名マスノスケ(鱒之介)。「キングはね、釣るのも、焼くのも、食べるのも世界No.2だ」と今朝ハニーが言った。「No.1は勿論ボクさ」という落ちだった(笑)
レッドキングは大きさも、味も、風格も鮭・マスの王者だ。北太平洋、ベーリング海、オホーツク海、日本海に分布する。孵化した稚魚はその多くが1~2年間を淡水で過ごし、降海した後、海洋で1~6年を過ごし再び生まれた川に戻る。産卵期はほぼ周年にわたるため、遡上の時期も長期にわたる。また、遡上する河川は大きな川に限られる。平均的な体長は30~40インチ(76~101cm)、体重は5~40ポンド(2.2kg~18kg)。最大で体長1.5m、135ポンド(61kg)。

私が最初に釣り上げたのは”83cmの子供”だった。
これ以上の穏やかな海はないだろう。暑くなって上着を脱ぐ。波風はなく、まるで平らな床の上にでもいるかのようだ。10月は梅雨ではなかったか。この優しい海が、時折冷たい風と大波で荒れ狂うような灰色の、同じ海だとは思えないほどだった。

続いて、シルバーキング、キングと交互にかかる。何度も、ヤッタネ!のハグをする。最高!9時半から1時までの間に、レッドキングサーモンが3匹、シルバーキングサーモンが3匹、おまけに60cmのハリバット2匹かかった。
快晴!ジーンとキング達

△私が釣り上げたレッドキング(左・右)、ジェーンがあげたシルバーキング(中央)

ジェーンはサーモンの半数を海に離し、1匹をその場でさばき、内臓を取り出した。残念ながら本日筋子はとれず。
興奮する私を横目に、「本当は、こんなコト、もう止めにしたい」と彼は言った。網に揚げてから、止めの一発は、バットで頭を殴ることだった。


▼予想外の大漁だった。しかもこんな湾の中で採れるとは・・・。ジェーンは昨日、3時間ほどスピットの外に出たが、1匹も捕れなかったそうだ。ここキナイ半島はハリバットとサーモンの漁で有名。釣りシーズンは6月から9月中旬。殆どのボートが9月下旬までに陸へ引き上げる。しかし、キングだけを狙うジェーンの旬は8月から10月だ。

アラスカは老若男女問わず、誰でも大きな魚をさばくのがウマい。しかし、ジェーンは更に上段だった。ジャッキー宅に戻り、氷河をバックに写真を撮ってから、下ろし方を教わった。勿論、頭も縁側もアラも、彼が捨てんとする所は全部頂いた。アラ炊きにしよう♪
さばき終わった後、彼の知人の倉庫へ行って、真空パック詰めにした。通常冷凍で2~3日、真空パックなら6ヶ月は冷凍保存がきく。

彼は、日曜日に船を引き上げ、来週中に南下する予定らしい。アラスカの海の宝を見せてくれた彼に何かお礼がしたい。明日は私が料理の腕を振るうことにした。家に帰ったら、ハニーが玄関まで両手を広げて出迎えてくれた。今夜の夕食は、キングに花が咲く。

コメント

コメントありがとうございました。評価もしておきましたよ。
ココのブログは、内容も写真も圧倒的ですね。私なんかは、迫力負けしましたw

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