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地球と遊ぼう、ハイジの丘協会 森と生きる、狩りの旅 =海獣=

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森と生きる、狩りの旅 =海獣= 

森は毎日、新鮮味にあふれている。まっすぐなトレイルなんて、1本もない。丸太を越え、木の枝をくぐり、時に苔の座布団に腰を下ろし、熊のスキャット(糞)や石ころの上に足を滑らせて進んでいくだけ。毎日、たくさんの動物達との出会いでいっぱいだ。

fox

△遠くから見ても、キツネの毛皮はとても艶やかで美しかった。


▼11月6日朝。
「1週間歩いて疲れただろう。遠慮せずに今日は休んでもいいよ」
フォレストが気を遣って言葉をかけてくれたが、例え悪天候でも、色んな状況の山を見ておきたかったし、その中でどんな判断が必要になってくるのかを、この目で体験しておきたかった。毎日、冷たい風に当り続けた続けた私の頬は、真っ赤に焼けた。日焼け止めを塗っても、あってないようなものだった。

フォレストは、250mの距離から、丘の上のバック(オス鹿)を狙う。1発、2発、3発。難しい距離ではなかったが、こっちを見ながらピョンピョンと跳ねていくバックに、4回目の引き金は、引かれなかった。やぶの中にバックを見送った。
「ラッキーな奴だ。3発も撃って当らないなんて、今日は彼の勝ちだ。今日は見逃しておくよ」

空から谷へ、海から森へ、森から沢へ、うねり、唸る風は、私達の体温を奪い、疲労させた。

銃声を聞いてハニーがかけつけてきた。吹き付ける雪で、視界は益々悪くなった。冷たいハリバットのサンドイッチを口いっぱいに頬張る。

「冷たい風と嵐。それらは普通の人間を弱気にさせるけど、私にとっては悪天候こそ、生きるパワーを発揮させてくれるものだ。どんなに吹雪も嵐も、私の命を奪うことなんてできないよ」
フォレストがこんな話をしながら、3時にはキャンプに戻った。熱いロシアンティーを入れて、一息つくと、男達は雨に打たれながら、また薪を割った。

雨支度

△雨支度。鹿肉の入った綿のゲームバックに、ポリ袋をかぶせる男達。

小屋は一晩中、ガタガタと音を立てて鳴り続けた。風はどこかへ急いでいるのか。寝袋に、頭まですっぽり埋めてロウソクの灯を消す。相変わらず枕元には、万が一熊が入ってきた時のためにライフルを準備しているが、森の中で見つけた古い足跡やスキャットを見ると、この近所にはいない気配だった。フォレストは、昔寝ている小さな小屋を襲われた恐ろしい経験がある。

その晩フォレストは「Love Garden」の話をした。
愛を育てるのは、畑の花を育てることと同じくらい楽しくてやりがいのあることだ。夢という名前のクランベリー。歌、という名のファイヤーウィード。寛容、という名のバーチの木。思いやり、という名のハーブ。勇気、というジャスミン。信じる、というナッツ。手入れをすればするだけ、いろんな花や植物が咲いて楽しいよ。
雪の空に舞うプシキ

△雪の空に舞うプシキ姫

風のうなる夜に見た、美しい花畑だった。



▼11月7日、曇りのち雪。
朝7時半。隣のキャビンのスティーブ軍団がドアを叩いた。
「僕達、今から帰ります。色々とお世話になりました」
水を入れたポリ容器を置いて、彼らの水上飛行機が上空に旋回する音を聞くと、「Good Luck」と言って急ぎ足で走って行った。なんと礼儀正しい青年たち。最初に会った日から、彼らへの印象は変わらなかった。彼らは昨日も海岸まで荷物を運んだのだが、結局強風で迎えの水上飛行機が来れなかった。というよりも、私達が到着した日からずと、迎えの飛行機を待っていた。毎日、明日こそは、と願いながら。キャンプで最も予定が立たないのは、この海洋性気候だ。強い風、そして霧。

「ジャック(我々が滞在しているキャビンのオーナー)から何か伝言があるに違いないから見てくるよ」と言って、ハニーも海岸に駆け付けた。ジャックが知人のパイロットに預けたものは、往路の飛行機の重量制限で私達が運べなかった食糧とチェーンソーだった。今更・・・と笑ってしまうような、1kgの穀物クッキー(13種類のナッツと全粒粉を混ぜ合わせ作った。無糖で腹持ちがいい)、ジャガイモと人参が各4kgほど、my豆乳、グラノーラ、ヨーグルトなど。まぁ、なくて困るよりはいいが、あと1週間では食べきれないほどの量。このキャビンに来てから、気温は氷点下を上回ることがなく、山一杯冷凍して持ってきた肉や魚も解けずにいる。

青と赤

△青と赤の朝

この朝の晴れ間を見て、今日は行くか行くまいか、どうしようかと迷ったが、キャンプに残ることにした。ここは、三方向を山に囲まれており、直接日の出、日の入りを見ることはできない。視界がはっきりしてきた8時45分。
暖炉に不慣れな私に「火を絶やさなければいいが・・・」と言い残して、2人が出て行った。

「行ってらっしゃい。鹿、獲ってきてね」
なんと私の口から、こんな言葉がついにこぼれた。何故、どうして?自問してみる。それは、まるで、狩りに出る男達を見送る女のように。この島の先住民、アリューティックの女もこう言っただろうか。少なくとも、動物愛護の悲観劇ではなく、狩猟の民としての感じ方だった。男達のいない間、女は水を汲み上げ、子供の面倒を診、掃除をし、食事の支度をし、蚊帳でバスケットを編み、鹿の皮で衣類を繕っただろうか。

今日最初の仕事は、水汲みだった。フォレストが指差した丘に登ってみるが、その泉は水が十分にかき集められるほどの深さがなかった。近辺をもう少しうろついてみるべきだったが、私は、わずが15cmほどの泉にバケツをすくめ、ポリ容器の口を、水の滴る木の葉の下に固定した。1分経っても、2分経っても、5cmと水が溜まらない。気が暮れそうな待ち時間だった。結局容器の1/3も溜らぬうちに、丘を下りた。木の葉や少しばかりの土が浮いた水。私の膝にぶつかっては、水がこぼれる。キャビンまで500m。数メートルおきに立ち止まった。夜明けと共に訪れる朝を、水汲みで始める人々が、この世界には、一体どのくらいいるだろうか。葉っぱの浮いた水を惜しみながら皿を丁寧に洗った。水はうんと貴重なものだった。

ストーブの着火用に薪を小さく割る。

一、自分の頬に当ててみて冷たい薪は湿っている。冷たくなければ乾燥しているから、暖炉にいれても大丈夫。
一、発火させる時、ガソリンは絶対に使わないこと。灯油・植物油はOK。
一、着火用に薪を割る時は、できるだけ節のないものを選ぶ。

蒔き割り


北の人なら小学生でも分かるようなことだったが、この注意を思い出しながら、暖炉に薪を放り込む。薪割りは意外にも楽しかった。ストーブで雪を解凍しながら水を作る。
外のデッキにほったらかした食器洗いのスポンジは、30分も経たないうちにカチンコチンに凍ってしまった。白い大きな目をしたイタチと目が合い、ギョッとして隠れた。食事のおこぼれをもらおうと、たくさんの鳥が集まってきた。
いけない、いけない。この夏ジョセフィンとデナリ国立公園周辺をキャンプした時に習ったことを思い出していた。野生は常に野生である。人間のものを最大限、自然界に残さないこと。厳しかった彼女の教えは役立っている。

箒で埃だらけの床を掃き、愛ちゃんにもらった博多の棒ラーメンを作ってみる。野菜で麺が見えないほど。キャンプでもないと、ラーメンを食べる機会はなかなかない。私が野菜のスープをすすり終る頃、背中を雪で撃たれた2人が、赤い顔をして帰ってきた。午後1時半、この吹雪で視界は狩りをするに十分ではない。
今日の収穫はゼロ。

今日はたくさんの鳥に遭った。

そして、海獣の群れにも遭った。

まるでその姿は、荒れ狂う海の破廉恥暴走族。ニーチャン、ハーチャンか。海岸まで、チェーンソーを取りに行った時のことだ。

 ウッオオオオー、ウッオオオオー

クマ?
何だ、誰だこの吠える声は!?

沖に目をやると、12頭のアシカの群れがいた。チェーンを回しながら、「ヘイ、ねぇちゃん」と襲い掛かってきそうだった。ま、チェーンは回してないが。

海獣

△海獣Sea Lion族。このビーチを東に西に、行ったり来たり。
こちらを見ながら吠えている。

あのスワードの水族館で見たモナリザのような眼差し。気持ちよくスイスイと水中を踊る人魚。サン・フランシスコのフィッシャーマンズワーフにいる、愛嬌のあるアシカ。この荒れ狂う海の海獣は、可愛いものでも何でもなかった。海のライオン、とはよく言ったもの。300kgのこの巨体は、熊さえも海に引きずり込んでしまうほど。れっきとした肉食獣だ。英語では、Sea lion(海のライオン)、またはwalking seals、学問名はeared seals(耳のあるアザラシ)だ。ちなみにアザラシは「earless true seals」と呼び、耳がないのが違いだ。

sea lion


「油断すると、海に引きずり込まれるぞ!」

(続く)


↓未熟な文章ですが、最後までお読み下さり、ありがとうございました。今後の文章の向上のため、是非、記事の評価をお願いします。

コメント

「大草原の小さな家」みたい

まさにサバイバル生活ですね。
すごく勉強になります。

「大草原の小さな家」という本は皆さんご存知だと思いますが、そんな暮らしを思い浮かべました。あの本の中で親達が豚の解体をしている時に子供達が豚の膀胱を膨らましてボール遊びをするというシーンがあったなぁ。勉強になる本ですな。

『狂食の時代』

>サバイバルのyoyo先輩
トラックバック&コメント、ありがとうございました。なるほど~!「大草原の小さな家」は子供の頃、NHKの教育テレビでちらっと見た事しか覚えていませんでした。
ハニー(73)とリンダママ(69)から、彼らが育った大農園の昔話をよく聞いています。動物の罠をしかける、牛の乳からカテッジチーズを作る、豚の腸でソーセージを作る、豚の脳みそはコクがあって旨いんだとか、鴨を自分で撃ったり・・・。彼らの話は、2002年イギリスのジャーナリストJohn Humphrysが書き下ろした『狂食の時代』(The Grate Food Gamble/講談社)の冒頭で、イギリスの古き良き田園風景を描いた場面とそっくりです。
美しいけれど、二度と取り戻すことのできない、古きよき時代。『大きな森の小さな家 ~インガルス一家の物語』の中にも、私が今聞いている、美しい農園の風景がたくさん眠っているのですね。早速チェックしてみます!

※関連リンク『狂食の時代』
http://www5.ocn.ne.jp/~kmatsu/kyoushokunojidai/00index.htm

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サバイバル指南書「大草原の小さな家」

大きな森の小さな家 ~インガルス一家の物語(1)~クリックするとAmazonにジャンプします。Heidiさんのブログ読んでたらこの本を思い出しました。このシリーズを子供の本だと思ってばか

  • [2005/12/10 22:57]
  • URL |
  • SOS 〔slow・organic・survival〕 by yoyo |
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